石巻市大川・釜谷地区
花木の植樹で地域の再生を応援

東日本大震災の津波で大きな被害を受けた石巻市大川・釜谷地区では、地元の皆さんが中心となり、桜などの花木を植える活動が行われている。地域の再生を願う、地道な取り組みが続く。

花と緑で地域の再生を目指す活動のまとめ役、
阿部良助さんと夫人の文子さん


桜の苗木や肥料など支援の輪が広がる

 東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市大川・釜谷地区。釜谷地区では269人もの方が津波の犠牲になった。家屋も流され、百数十軒の民家が建ち並んでいた場所は、今はただ荒涼とした地となっている。

慰霊碑前の花壇に地元有志と支援団体がビオラやチューリップを植えた(2015年12月)

 この釜谷地区に桜などの花木を植える活動が地元の皆さんやボランティアによって地道に行われている。中心となってその活動を進める阿部良助さんはこう話す。
「震災で亡くなった方々の鎮魂のために、269本の桜を植えたいのです」。その思いは多くの人たちの共感を得て、支援の輪が広がっていった。
 最初に桜を植えたのは2011年11月。津波によって水田などに流された墓石を一カ所に集め、そこへ通じる道の両側に12本の桜を植えた。植樹には100人以上が集まったという。その際に、長野市在住の桜守・里野龍平さんから桜の苗木の提供の申し出があり、桜の植樹が本格化。「釜谷観音桜の会」として、春と秋に桜の植樹を行っている。さらに、肥料などの支援を申し出たのが、「花と緑の力で3・11プロジェクトみやぎ委員会」のまとめ役を務める仙台市の鎌田秀夫さんだ。花と緑を用いて復興支援活動に取り組んでいる。
 津波に見舞われた土地に桜を植えるのは容易なことではない。土を掘ればがれきが作業を阻み、重機で整地する必要もある。追肥も必要だ。多くの苦労を経て、植樹された桜は現在、260本を数える。

桜の咲く時期に地域のみんなが再会を

 こうした活動と並行して、季節の花々を植える取り組みも行われている。その一つが、津波で流された観音寺の跡地での活動。ここには、埼玉県在住の篤志家からの寄付金によって、観音像が建立された。多くの人が供養に訪れるこの場所をきれいにしたいとの思いから花壇を設置し、色とりどりの花を植え、定期的に除草も行う。

被災した地域の景観に花々が明るい彩りをもたらしている

また津波を被って枯れた杉の木を伐採。山の斜面に水仙や紫陽花、レンギョウ、ロウバイなど、さまざまな季節の花を植える活動も行われている。
 復興が進むにつれ、仮設住宅から災害公営住宅に移る人、自立再建をする人など、地域の人々が別れ別れになってしまうのが被災地の現状だ。花木を植える活動には、「地域のつながりを失わないように」という願いも込められている。

269本の桜の植樹に向けて木の生育を確認する阿部さん

「せめて年に一度、桜の咲く時期には、釜谷地区に暮らしていたみんなで集まりたい。

植樹された桜の木々は「手あわせ桜」と名付けられている

次は『あずまや』を設置し、みんなの憩いの場を作るのが目標です。そして、そこには春に花咲く芝桜を新たに植えたいです。」と阿部さん。
 今年の秋には、目標だった269本の桜の植樹も完了する予定。
「この桜が見事に咲くのは10年くらい先でしょう。それまでがんばりたいです」と阿部さんは言う。
桜は春が来る度に釜谷地区の山裾をピンク色に染めて、見る者に伝え続けてくれるだろう。震災のこと、そして、故郷を美しくよみがえらせようとした人々の思いを。

人が集い、憩うこの場所に芝桜を植えて彩りを取り戻したい

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