将来自立できる子どもを
みんなで応援しよう

何らかの事情により家庭で養育できなくなった子どもを預かって育てるのが児童養護施設である。仙台天使園は、健康で朗らかに生活できる環境を整え、子どもが自信と自立心を養えるよう職員が愛情を持って日々子どもたちに向き合っている。地域社会の中で支援を受けながら、よりよい養育を行っていくことを目指している。

中庭の芝生の上では、子どもたちの元気な声が響く


子どもを慈しむ家を作る

 「1931年、仙台に5人の修道女がきました。学校を設立して教育事業を行うためです。東北地方が大凶作だった時期で、夫を亡くし困窮して4人の子どもを身売りさせるところだった婦人の窮状を救うため、子どもを養育することになったのです。それが1933年で仙台天使園の始まりです」と話すのは園長の佐野督郎さん。同園は聖ドミニコ女子修道会が創立、現在は社会福祉法人ロザリオの聖母会が運営しており、仙台市太白区茂庭台の園舎で2歳から18歳まで70人前後の子どもが暮らしている。

 子どもが仙台天使園に来る理由は、一人親、親の精神疾患、虐待、経済的問題などさまざまだ。これに対して佐野さんは「親と別れる経験で子どもは辛い思いを抱えています。職員みんなで『自由で愛と感謝に満ちた家』を作り、子どもたちの成長を助けていこうと努力しています。」と述べる。

愛と楽しさのある生活

 仙台天使園は家庭的養護に力を注いでいる。建物は2棟で本園と地域小規模児童養護施設「さくら」がある。本園は8人までの少人数がキッチン・ダイニングと個室(1人~3人部屋)で構成されるユニットで生活。さくらは一軒家で子ども6人と職員が一緒に暮らす、より家庭的なスタイルだ。
 職員は児童指導員・保育士約30人をはじめ、栄養士、調理師、セラピストなど。児童指導員・保育士は親となり、先生となり、兄や姉となって子どもに愛情を注ぐ。
子どもは年齢に応じて、食事、昼寝、登校、掃除などの日課を通じて基本的生活習慣を身につけ、自由時間や休日には好きなことをして遊ぶ。季節の行事も盛りだくさんだ。春の進・入学祝いや遠足、夏のキャンプや帰省、秋の芋煮会、七五三など。冬のクリスマス会では来客の前で子どもたちが劇や歌を披露、地域との交流も楽しんでいる。
 不登校や対人不適応など課題がある子どもには、心理療法室でプレイセラピーやカウンセリングを行っている。

専門の職員が常駐する心理療法室

また親子訓練室もあり、長く離れていた親子が何日か一緒に生活し、家庭に戻れるように支援する。

パンを得る方法を教える支援を

 佐野さんの一番の願いは、子どもの自立だ。児童養護施設の子どもは18歳で施設を巣立ち、多くは就職して自立する。しかし、中には自立に失敗する子どももあり、生活に困窮することもある。
 そこで大切なのが教育だ。自立のためには職業につながる教育や資格取得が重要と考え、高校卒業後に専門学校や大学に進学させるための支援を訴える。これに共感した人々からの寄付により、専門学校で学び、パティシエになった子もいるが、まだまだ本格的な支援は足りない状況だ。

優しいまなざしで、
子どもたちのことを話す佐野さん。

 「スイスの教育家ペスタロッチは『パンを与えるのではなく、パンを得るための方法を教えることが大切である』と説きました。」と佐野さんは貧困の連鎖を断ち切り、子どもに将来自立できる力をつけさせる大切さを強調する。そのきっかけの一つになるのが日頃から寄贈を受けている本だとか。「勉強すること、本をたくさん読んで考える力をつけること、それが能力になり、情操も豊かになります」。多目的ホールに並ぶ本は、よい友だちでもあるようだ。

 子どもは社会の宝。養護施設の子どもが元気に育つよう見守るのも社会全体の役目だ。佐野さんは「いぐする宮城サポーターズ」の取り組みで、多くの人が社会的養護の必要な子どもに関心を持ち、さまざまな形で支援してくれることを期待している。

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